世界の中心で、愛をさけべなかった。

こんにちは。

自分の部屋を掃除していたら中学校のときに通学用に使っていた鞄が押入れから

出てきた。懐かしいな。そう思いながら鞄の中を覗く。

自分の使っていた鞄なのにまるで他人の鞄を開けるような感覚だ。中はプリントで

ごちゃごちゃしている。2、3枚のプリントを手に取り内容を確かめると

「三者面談のお知らせ」とか「進路説明会のご案内」などの中学3年生の保護者に

向けた内容のものと伺える。

この中にあるってことは私は親にプリントを見せてないことになるがそんな

昔のことはお構いなし。

 

当然プリントにはほとんど目を通さずゴミ箱行き。鞄の中のプリントを出している

と小さく折られた薄いピンク色の紙に目が留まる。なんだろう。そう思いながら

この紙を広げ何の紙かを確かめる。

どうやら私宛のラブレターだった。差出人はE子だ。私はこの頃もらったことを

思い出した。

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時は90年代後半。その当時は携帯電話など持っている中学生はほとんど

いなかった。クラスにピッチを持ってる人が1人いるかいないかで、メールは

一通10円のPメール。遊ぶ約束をするにも学校で直接約束するか家電にかける

か。インターネットという言葉は聞いたことあるが何者かわからなかった。

そんな時代だった。

 

E子は私と同じクラスで特に仲が良いわけではなく明らかにグループが違うような

人だった。ラブレターをもらったのは確か授業中のことだった。私の席は前の方で

彼女は後ろの方だった。E子が前の人にラブレターを渡し、その人が前の人に渡し

人伝いで私の手元に来た。そしてラブレターを読む。

おそらく私が読んでいる後姿をE子は後ろから見ていただろう。

 

だけど私はE子には興味はなくむしろ「なんで、おれ?」と思っていた。逆に

聞きたかったが聞くこともなく時だけが流れた。

当然ラブレターの返事はNG。きらいだったわけではなく付き合う理由が

なかった。もしかするとただのドッキリだった可能性もある。今ではどうでも

いいことだが。このときにラブレターを鞄に入れていたのだろう。

この日が秋晴れだったことだけはなぜか覚えている。

 

 

私の通っていた中学校では若い女性の教師が多く新卒で配属してきた教師も

数人いた。

私は美術担当のH先生がお気に入りだった。H先生は当時25歳くらいで

スタイルはボンッ、キュッ、ボンッ。って感じで顔立ちも良く当時の私から

すれば身近なアイドル的存在だった。男子からは当然人気があった。

私はE子よりH先生の方が女性としての魅力を感じていた。

 

 そんなH先生が妊娠したので休職した。どうやらH先生は未婚だったのに彼氏

との間に子供が出来たらしい。私は振られた感覚になった。

E子を振った罰だったのかH先生が休職して、H先生が戻ってくる前に私は中学を

卒業した。

 

数年後、風の噂で聞いたがE子は20歳くらいで結婚して1,2年くらいで

離婚したらしい。

H先生の詳細は分からないが子供が無事に産まれ成長していれば現在は中学生

くらいだろうか。そう考えると私も少し年をとった感覚になる。